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婚姻

2024.02.11

事実婚のメリット・デメリットとは?法律婚・同棲との違いやおすすめの制度も紹介

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事実婚は法律や制度に縛られない自分達らしい夫婦関係が築ける一方で、税制の優遇などにおいて不利な面があるのも事実。事実婚を選択する場合は、現行の制度について知り、利用できるものは上手く利用すると良いでしょう。この記事では、事実婚の定義や法律婚・同棲との違い、メリット・デメリットを解説します。おすすめの制度や事実婚の証明となる書類についても紹介します。

事実婚の要件と法律婚・同棲との違い

事実婚として認められる要件は、法律婚と共通する点もあります。それらの要件を満たしていないのが、同棲関係と言えるでしょう。ここではその要件と法律婚・同棲との違いを解説します。

事実婚が認められる要件

事実婚とは、婚姻届けを提出していない男女が、事実上の夫婦と同様の意思を持ち、共同生活をしている形態のことです。事実婚が認められる要件には、主に以下の3つがあげられます。
  1. 夫婦としての意思をお互い持っている
  2. 生計をともにし、共同生活をしている
  3. 社会的(公的)にも夫婦であることを表明している
「内縁関係」とも言われますが、事実婚はお互いの意思で婚姻届けを提出しない場合を指す傾向があります。

法律婚との違い

法律婚は婚姻届けを市町村役場に提出し、法律上も戸籍上も正式な婚姻関係が認められています。事実婚との大きな違いは、婚姻届を出しているかどうかです。

同棲との違い

お互いが恋人であることを認識し、共同生活をしている場合は同棲関係と言えます。お互い夫婦としての意思があるか、社会的にも夫婦として認められているかどうかが事実婚と異なります。

事実婚のメリット

事実婚には制度に縛られず、親戚付き合いなども一定の距離をおけるといったメリットがあります。法律婚ではなく、あえて事実婚を選ぶカップルも。次に事実婚のメリットを解説します。

メリット①夫婦別姓で生活を続けられる

事実婚だと姓を変える必要がないため、夫婦別姓で生活を続けることができます。日本では夫婦同姓が義務付けられており、女性側が男性の姓に変えるのが一般的です。
法律婚で姓を変えた場合、免許証や銀行口座の名義、クレジットカードといった名義変更の手続きが必要ですが、夫婦別姓のままであれば、これらの手続きも必要ありません。職場で姓の変更を報告する必要もなく、キャリアの継続に不利益を被らないのもメリットです。

メリット②戸籍上の変更がない

事実婚では、どちらかがパートナーの戸籍に入る必要がないため、戸籍上の変更はありません。法律婚の場合は、女性が実家の戸籍から離れて男性側の戸籍に入るのが一般的。戸籍上の変更がないので、別れた場合でも「離婚」したという履歴が残りません。また、お互い一人っ子で名前を継がなければならない場合の解決策の1つにもなります。

メリット③パートナー側の親戚と距離を保てる

親戚付き合いが苦手な人にとっては、パートナー側の親戚と距離を保てることもメリットと言えるかもしれません。法律婚ではパートナーの親や兄弟と姻族関係になるため、さまざまな付き合いが出てきます。事実婚であれば、親戚とも距離を保ちながら付き合うことができます。

事実婚のデメリット

事実婚は主に税金の支払いや父親との親子関係、相続権においてデメリットがあります。次にこれらのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

デメリット①税制上の優遇が受けられない

事実婚は、法律婚と比べて税制上で優遇されないのがデメリットの1つ。所得税では、配偶者控除や医療費控除が認められません。相続税においても、配偶者税額軽減が適用されないため税額が増えます。さらに贈与税でも配偶者控除が利用できないことから、税金の支払いにおいては法律婚よりも不利な面が多いと言えるでしょう。

デメリット②子どもと父親との親子関係が自動的に認められない

事実婚では、法律婚のように子どもとその父親との親子関係が自動的に認められません。パートナーとの間に生まれた子どもは自動的に母親の戸籍に入ります。父親と子どもの親子関係を法的に認めてもらうには、認知の手続きをする必要があります。また、父親が子どもの親権を持つためには、家庭裁判所で親権を変更する手続きが必要です。

デメリット③遺産の相続権がない

事実婚は、パートナーの遺産の相続人として認められません。法律婚では自動的に相続人となりますが、事実婚の場合、一緒に過ごした時間が長くても、パートナー名義の預貯金や不動産などの相続権はありません。遺言書を残すことで相続することが可能になっても、先述したとおり相続税がかかってしまいます。

事実婚のカップルにおすすめの公的・民間の制度

事実婚を選択する際には、法律婚と同等な扱いになるような公的・民間のサービスを利用するのがおすすめです。以下、事実婚で利用できるサービスについて紹介します。

社会保険制度を利用する

事実婚の場合も、社会保険においては法律婚と同様の扱いが受けられるので利用しましょう。被保険者のパートナーである場合、世帯主と「未届の妻(夫)」と記載されている住民票があれば、社会保険で扶養に入ることが可能です。別れた場合でも、パートナーへの年金分割が可能です。

パートナーシップ制度を利用する

パートナーシップ制度を活用すると、「宣誓書」や「公正証書」などが交付され、法律婚と同じように各種手続きやサービスに対応してもらいやすくなります。現在100以上の自治体で導入が進んでいるので、自分の住んでいる自治体に問い合わせてみましょう。

携帯料金の家族割引を利用する

共同生活をしている事実婚カップルや同性カップルも割引料金が利用できる携帯通話会社があります。事実婚を証明する書類が必要な会社もありますが、必要ない会社もあるので調べて利用するのもおすすめです。

不妊治療費の助成を利用する

2021年1月から不妊治療費の助成が拡充され、法律婚と同様、事実婚カップルも助成が受けられるようになりました。所得税制限の撤廃や助成額の増額などが変更されたので、不妊治療を考えている場合は活用すると良いでしょう。

生命保険の受け取りや遺産相続ができるようにする

パートナーが生命保険や遺産を受け取れるように手続きしておくと安心です。事実婚のパートナーを受取人として指定できる生命保険もあります。また、遺言書を作成すれば、パートナーに遺産を残すこともできます。ただし、税金がかかってしまうため、生前贈与といった方法を検討してみましょう。

事実婚を証明するもの

事実婚を証明するものがあると、民間のサービスや公の制度を利用しやすくなります。ここでは事実婚の証明になる書類を紹介します。

同一世帯であることが分かる住民票

婚姻届の代わりに同一世帯として住民登録することで、夫婦間の証明をすることができます。手続きの際に、世帯主との続柄を「妻(未届)」または「夫(未届)」と記入しすれば、住民票で同一世帯であることが分かり、事実婚であることを証明できます。

事実婚契約書の公正証書

事実婚のふたりが交わす契約書を作成し、それを公正証書にしておきましょう。契約書には法律婚で義務づけられる内容や、子どもの養育、親権、離婚などについても記すことが可能です。契約書を公正証書として作成しておけば、パートナーの手術時の医療判断や住宅ローンの借り入れなどがスムーズになることもあります。

結婚式を挙げた時の書類

結婚式を挙げる場合、結婚式場との契約書や資料が証明となる場合もあるので保管しておきましょう。公的な書類ではありませんが、最近では、新郎新婦の署名や日付、場所などが記載された「結婚式証明書」を作成するカップルもいます。結婚式を挙げることは、夫婦であることを周知し、ふたりにとっても良い記念になるので、検討してみてはいかがでしょうか。

事実婚のメリット・デメリットを考え、自分達らしい選択を

事実婚は、制度や親戚付き合いに縛られないメリットがある一方で、主に税金の支払いや相続権においてデメリットがあります。事実婚の場合でも利用できる制度が増えているので、事実婚を選択する場合は上手く利用すると良いでしょう。メリットとデメリットの両方を知ったうえで、自分達らしい選択をしてくださいね。

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